中国環境保護部主管の“環境アセスメントに対する住民参加”についての研修が、3月20日、21日と二日間にわたって昆明市内で開催されました。
イタリア、クロアチア、スウェーデンから専門家が招かれ、雲南省に事務所を構えるNGO団体や雲南省の各地方環境保護庁が参加し、会議は英語を中心に行われました。参加した中国人のみなさんの語学力に圧倒!
会議ではまず、ヨーロッパでの事例を挙げ、必要性や困難などを学びました。住民参加には時間とお金がかかり、まずは政府がどのように実行していくか、法律をどのように整えるか考える必要があります。
また、最近は環境アセスメントに関する必要性が中国でも叫ばれており、試験的にいくつか実施されたことが報告されました。実際に試験実施に関わったNGOや現地環境保護庁の話によると、住民の同意を得たりアンケートをとったりする場合、「村では村長が言えば村民は何も考えずに全員同意する」、「政府からの情報が不透明」など、住民の知識水準や情報公開に対する課題が次々と出されました。
臨滄市で試験的に住民参加を実施したゴミ処理場建設の例では、村ではインターネットが普及しておらず、庁のホームページで公開されたとしても村人には伝わらない、住民参加に関する考え方が普及していない、村人から100%の支持が得られたがプロジェクト内容を把握していないのにサインした人が大勢いる、という問題が挙げられました。
課題は山積みですが、このような考え方が広まれば、住民の望む開発が進むのではないかと思います。去年世界遺産になったハニ族の棚田では、周辺の村がどんどん新しく建て替えられていると聞きました。大切な遺産が現代的で昔の面影を失くした村に変貌するのはもったいないことです。政府も当事者である村人も、互いに未来を考えながらプロジェクトを進めていくことが大切だと思います。その過程で、NGOなどが運営・監督機関としての役割を果たすことが期待されます。